おもろさうし/第十六
首里天ぎやすへあんじおそいがなし 勝連具志川おもろの御さうし 天啓三年癸亥三月七日 第十六
おとゝきみまさりが節
[edit]16-1127(1)
一煽りやへが庭の 鳴響み/按司誇る親庭の 鳴響み/又精高子が庭の 鳴響み/又勝連の庭の 鳴響み
一あおりやへかみやの とよみ/あんしほこるおやみやの とよみ/又せたかこかみやの とよみ/又かつれんのみやの とよみ
のちあがりが節
[edit]16-1128(2)
一おもろ殿原よ/精の口正しや/勝連 選び遣り ちよわれ/又宣るも殿原よ/又聞ゑ阿麻和利や/国の弟者 成しよわちへ
一おもろとのはらよ/すゑのくちまさしや/かつれん ゑらひやり ちよわれ/又せるもとのはらよ/又きこゑあまわりや/くにのおとちや なしよわちへ
さはちきよが節
[edit]16-1129(3)
一勝連の阿麻和利/十百歳 ちよわれ/又肝高の阿麻和利/又勝連と 似せて/又肝高と 似せて
一かつれんのあまわり/とひやくさ ちよわれ/又きもたかのあまわり/又かつれんと にせて/又きもたかと にせて
さはちきよが節
[edit]16-1130(4)
一聞ゑおわもりぎや/降れて 遊びよわれば/上下の そかなする 見物/又鳴響むおわもりぎや/又今日の良かる日に
一きこゑおわもりきや/おれて あすひよわれは/かみしもの そかなする み物/又とよむおわもりきや/又けおのよかるひに
さはちきよが節
[edit]16-1131(5)
一精高おわもりぎや/降れて 群れ舞へば/島 通て 来る様に/又君のおわもりぎや/又真物寄せ ちよわちへ/伊計離れ ちよわちへ/又さすが添い ちよわちへ/浜 平安山 見遣れば
一せたかおわもりきや/おれて ふれまへは/しま かよて くるやに/又きみのおわもりきや/又ま物よせ ちよわちへ/いけはなれ ちよわちへ/又さすかおそい ちよわちへ/はま ひやもさ みやれは
さはちきよが節
[edit]16-1132(6)
一揚がる望月ぎや/君の望月ぎや/清ら家の玉の御内 見ちやる/又高江洲のこらが/迎いたる 誇らしや/又吾が成さい人こらが
一あかるもちつききや/きみのもちつききや/きよらやのたまのみうち みちやる/又たかへすのこらか/むかいたる ほこらしや/又あかなさいきよこらか
こゑしのが節
[edit]16-1133(7)
一勝連わ てだ 向て/門 開けて/真玉 金 寄り合う/玉の御内/又肝高の 月 向て/又勝連わ/けさむ 今も/按司 選ぶ
一かつれんわ てた むかて/ちやう あけて/またま こかね よりやう/たまのみうち/又きむたかの 月 むかて/又かつれんわ/けさむ みやも/あんし ゑらふ
あおりやへが節
[edit]16-1134(8)
一勝連の阿麻和利/玉御柄杓 有り居な/京 鎌倉/此れど 言ちへ 鳴響ま/又肝高の阿麻和利/又島治りの御孵での按司/又国治りの御孵按司/又首里 おわる てだこす/玉御柄杓 有りよわれ
一かつれんのあまわり/たまみしやく ありよな/きや かまくら/これと いちへ とよま/又きむたかのあまわり/又しまちりのみそてのあんし/又くにしりのみそあんし/又しより おわる てたこす/たまみしやく ありよわれ
さはちきよが節
[edit]16-1135(9)
一勝連の貴み人/真物寄せ 見遣らに/又肝高の貴み人/又綾手持ち 佩きよわちへ
一かつれんのたゝみきよ/ま物よせ みやらに/又きむたかのたゝみきよ/又あやてもち はきよわちへ
うちいぢへはふるけものろ節
[edit]16-1136(10)
一つるこ達しよ 寄り居れ/見る眼の 愛しやす/真人は 寄り居れ/又勝連のてだ
一つるこたしよ よりよれ/みるめの かなしやす/ま人は よりよれ/又かつれんのてた
うちいぢへはふるけものろ節
[edit]16-1137(11)
一望月ぎや/神にしやが 降れ立ち/島の浦に 鳴響ませ/又勝連の貴み人/知られゝ/又肝高の貴み人/又浜川の波打ち口/降れわちへ
一もちつききや/かみにしやか おれたち/しまのうらに とよませ/又かつれんのたゝみきよ/しられゝ/又きむたかのたゝみきよ/又はまかわのなみうちくち/おれわちへ
うちいぢへはふるけものろ節
[edit]16-1138(12)
一つるこにくけしや/良かるにくけしや/ゑけ 人 添て 見よわれ/又馬加那志 召しよわれ/又赤ら傘 差しよわ〔ちへ〕
一つるこにくけしや/よかるにくけしや/ゑけ 人 おそて みよわれ/又うまかなし めしよわれ/又あからかさ さしよわ〔ちへ〕
やまぐすくげらへきよらもりが節
[edit]16-1139(13)
一望月や/けさからの 主君/遊べ〳〵 やちよく達/又望月や/又望月や/浜川に 降れわちへ/又望月ぎや/波打ち口 降れわちへ/又望月/夜々は あからしに あわしする/又よない し遣り/赤口に 見いるな
一もちつきや/けさからの ぬしきみ/あすへ〳〵 やちよくた/又もちつきや/又もちつきや/はまかわに おれわちへ/又もちつききや/なみうちくち おれわちへ/又もちつき/よゝは あからしに あわしする/又よない しやり/あかくちやに みいるな
やまぐすくげらへきよらもりが節
[edit]16-1140(14)
一勝連の鳴響みてだ/百浦鳴響みてだ/又肝高の鳴響みてだ/又勝連の板口/又肝高の金口/又上からは 照る真浜/又下からは 浜川に
一かつれんのとよみてた/もゝうらとよみてた/又きむたかのとよみてた/又かつれんのいちやくち/又きむたかのかなやくち/又かみからは てるまはま/又下からは はまかはに
おらおそい節
[edit]16-1141(15)
一勝連の阿麻和利/聞ゑ阿麻和利や/大国の 鳴響み/又肝高の阿麻和利
一かつれんのあまわり/きこゑあまわりや/ちやくにの とよみ/又きむたかのあまわり
あおりやへが節
[edit]16-1142(16)
一精高おわもりや/君のあまわりや/せぢ高按司添い/親と 撓よわれ/又勝連は げらへて/げらへ愛しけや/又肝高は げらへて
一せたかおわもりや/きみのあまわりや/せちたかあんしおそい/おやと しなよわれ/又かつれんは けらへて/けらへかなしけや/又きむたかは けらへて
ぐしかわのぢやうぐちが節
[edit]16-1143(17)
一妹君君勝り/按司の頂/弟者より 勝り/又姉の君々 撓い
一おとゝきみきみまさり/あんしのつんし/おとちやより まさり/又あねのきみ〳〵 しない
あかのこがよくもまたもが節
[edit]16-1144(18)
一勝連わ 何にぎや 譬ゑる/大和の 鎌倉に 譬ゑる/又肝高わ 何にぎや
一かつれんわ なににきや たとゑる/やまとの かまくらに たとゑる/又きむたかわ なおにきや
ふねたてばが節
[edit]16-1145(19)
一勝連しよさく思い加那志/おなり ゑけり ちよわい/愛しけさ/又肝高のしよさ
一かつれんしよさくもいかなし/おなり ゑけり ちよわい/かなしけさ/又きむたかのしよさ
あがるいいとの節
[edit]16-1146(20)
一東方の大主ぎや/前から 金 持ちちへ/肝 揃て 祝い事 みおやせ/又てだが穴の大主
一あかるいの大ぬしきや/まへから こかね もちちへ/あよ そ〔ろ〕て よわい事 みおやせ/又てたかあなの大ぬし
やまぐすくげらいきよらの節
[edit]16-1147(21)
一勝連は 如何る勝連が/島の浦に 鳴響ませ/又肝高は 如何る肝高が
一かつれんは いきやるかつれんか/しまのうらに とよませ/又きむたかは いきやるきむたかか
うらおそい節
[edit]16-1148(22)
一平安座金杜に/意地気神 知らたる/しつらいす/事直し神やれ/又根立て金杜に
一ひやむさかなもりに/いちへきかみ しらたる/しつらいす/ことなおしかみやれ/又ねたてかなもりに
うらおそい節
[edit]16-1149(23)
一丈清らの親のろ/東方に 通て/世のつほに/おぎやか思いに みおやせ/又けさ殿親のろ
一たけきよらのおやのろ/あかるいに かよて/世のつほに/おきやかもいに みおやせ/又けさとのおやのろ
うらおそい節
[edit]16-1150(24)
一伊計ぐすく親のろ/綾子橋 掛けわちへ/島 かねて/おぎやか思いに みおやせ/又まちらすの親のろ
一いけくすくおやのろ/あやこはし かけわちへ/しま かねて/おきやかもいに みおやせ/又まちらすのおやのろ
うらおそい節
[edit]16-1151(25)
一聞ゑ宮城/選び出ぢへの真金/島踊りや 勝り/又鳴響む宮城
一きこゑみやくすく/ゑらひいちへのまかね/しまよりや まさり/又とよむみやくすく
うらおそい節
[edit]16-1152(26)
一宮城杜に/実に 見物 降れたる/神選びぎや/京の踊り しよわてゝ/又今日の良かる日に
一みやくすくもりに/けに み物 おれたる/かみゑらひきや/けおのより しよわてゝ/又けおのよかるひに
うらおそい節
[edit]16-1153(27)
一聞ゑ宮城/しつらいののろの/京の踊り しよわれば/厳子達 し遣り 誇て/又鳴響む宮城
一きこゑみやくすく/しつらいののろの/けおのより しよわれは/いつこた しやり ほこて/又とよむみやくすく
うらおそい節
[edit]16-1154(28)
一平安座濯ぎ川/手持ち 濯ぎ出ぢへて/国手持ち/おぎやか思いに みおやせ
一ひやむさよさきかわ/てもち よすきいちへて/くにてもち/おきやかもいに みおやせ
おとゝきみまさりが節
[edit]16-1155(29)
一具志川の門口/あらはゑす/鳴響み 聞ゝやれ居れ/又親国の門口/又吾が弟者 住まら/又良樽ど 住まら
一くしかわのちやうくち/あらはゑす/とよみ きゝやれよれ/又おやくにのちやうくち/又あかおとちや すまら/又よしたると すまら
おとゝきみまさりが節
[edit]16-1156(30)
一精有る国清らが/具志川に 歩み/宣 しよわちへ/又げらへ国清らが
一せいあるくにきよらか/くしかわに あよみ/ぬら しよわちへ/又けらへくにきよらか
おとゝきみまさりが節
[edit]16-1157(31)
一太郎思いや とくらしや/歓へ居ら 誇り居ら/又吾が鼓 大黒鷲/又誰が 取り居ら 誰が 打ち居ら/百度踏み揚がりが あす
一たらもいや とくらしや/あまへよら ほこりよら/又あかつゝみ ちやくるわし/又たか とりよら たか うちよら/もゝとふみあかりか あす
ふさよらやが節
[edit]16-1158(32)
一聞ゑあらはゑや/鳴響むあらはゑや/余る命/しちやちやに みおやせ/又月じよ 余りよわれ/月じよ 残りよわれ
一きこゑあらはゑや/とよむあらはゑや/あまるのち/しちやちやに みおやせ/又月しよ あまりよわれ/月しよ のこりよわれ
いべのいのりが節
[edit]16-1159(33)
一聞ゑ具志川に/しけちなは 真清水/島世の果報清水泉/又鳴響む具志川に
一きこゑくしかわに/しけちなは まさうす/しまよのかほうさうすいちへみ/又とよむくしかわに
うらおそい節
[edit]16-1160(34)
一江洲の杜ぐすく/八つ股が寄り立ち/上下 見物する 寄り立ち/又江洲頂ぐすく/又あてき潟原に
一ゑすのもりくすく/やつまたかよりたち/かみ下 み物する よりたち/又ゑすつちくすく/又あてきかたはるに
うらおそい節
[edit]16 -1161(35)
一江洲の杜ぐすく/江洲の頂ぐすく/江洲は 果報国/又江洲のろの親のろ/今日の良かる日に/しけち杜に 参て
一ゑすのもりくすく/ゑすのつちくすく/ゑすは かほうくに/又ゑすのろのおやのろ/けおのよかるひに/しけちもりに まへて
うらおそい節
[edit]16-1162(36)
一江洲のろの/宣りきよ金のろの/足 ねぶさ やぐめさ/首里杜 金 積で みおやせ/又今日の良かる日に/宣りきよ金のろの
一ゑすのろの/せりきよかねのろの/あし ねふさ やくめさ/しよりもり こかね つて みおやせ/又けおのよかるひに/せりきよかねのろの
月てだのてゞかゞちよわれが節
[edit]16-1163(37)
一江洲のたう島/江洲の親国/肝高杜/弟 見ちやる/又此れる 勝連/又此れる 肝高
一ゑすのたうしま/ゑすのおやくに/きもたかもり/おとゝ みちやる/又これる かつれん/又これる きむたか
うらおそい節
[edit]16-1164(38)
一天願のろの/国手持ちみ御家に/勝連す 国手持ちぐすく/又笑い人のろの/又按司添いぎや おより/勝連に 降れて
一てくらんのろの/くにてもちみおちへに/かつれんす くにてもちくすく/又わらいきよのろの/又あんしおそいきや おより/かつれんに おれて
やまきたらすざべが節
[edit]16-1165(39)
一天願のたう子/太郎ちちやめかしや/見つめてだ/あくぢよ 歓い/又天願の庭に/東方の庭に/又若てだよ 使い/世の主よ 使い
一てくらんのたうし/たらちちやめかしや/みつめてた/あくちよ あまい/又てくらんのみやに/あかるいのみやに/又わかてたよ つかい/世のぬしよ つかい
こへしのが節
[edit]16-1166(40)
一具志川の若親国/清らや/此のいけら鷲や/又まちらすの神にしや/金御殿/銀御殿 清ら
一くしかわのわかおやくに/きよらや/このいけらわしや/又まちらすのかみにしや/こかねおとん/なむちやおとん きよら
こへしのが節
[edit]16-1167(41)
一平良勝り人が/あかはんた 上て/太田原 見遣れば/白種の/寄り靡く 清らや/又鳴響む勝り人が
一たいらまさりきよか/あかはんた のほて/おほたはる みやれは/しらちやねの/よりなひく きよらや/又とよむまさりきよか
こゑしのが節
[edit]16-1168(42)
一安慶名の杜に/島鎮め鳴る子/島鎮め按司添い みおやせ/又安慶名の杜に/国鎮め鳴る子
一あけなはのもりに/しまたるめなるし/しまたるめあんしおそい みおやせ/又あけなわのもりに/くにたるめなるし
こゑしのが節
[edit]16-1169(43)
一宇堅のしら殿/しら殿の娘/あおうはひ やうかふはひ/又同じく 珈玻羅玉 おうはめ/又同じく 真玉玉 〔お〕うはめ
一おきんのしらとん/しらとんのむすめ/あおうはひ やうかふはひ/又おなしく かはらたむ おうはめ/又おなしく またまたむ 〔お〕うはめ
こゑしのが節
[edit]16-1170(44)
一具志川に おわる/天徳ちやらの添いや/ちやら頂/又親国 おわる
一くしかわに おわる/あめとくちやらのおそいや/ちやらつ(ゝ)/又おやくに おわる
こゑしのが節
[edit]16-1171(45)
一精有る国清らが/成さがげらへ神 掛けて/成さい人 鳴響ませ/又げらへ国清らが/又吾が成さが おより/又群り合い子が おより
一せいやるくにきよらか/なさかけらへかみ かけて/なさいきよ とよませ/又けらへくにきよらか/又あかなさか おより/又もりやいこか おより
こゑしのが節
[edit]16-1172(46)
一上江洲鳴響み国/御酒や 泉ど し居る/又上江洲聞ゝやれ国/真神酒や 泉ど し居る
一おゑすとよみくに/御さけや いちへみと しよる/又おゑすきゝやれくに/まみきや いちへみと しよる
こゑしのが節
[edit]16-1173(47)
一具志川の親御船 浮けら/棚 鳴響で 浮けた事/大国鳴響み御船/又親国の御船
一くしかわのおやおうね うけら/たな とよて うけた事/ちやくにとよみおうね/又おやくにのおうね
うらおそい節
[edit]16-1174(48)
一天願ののろの/たしちたしちしやめかしや 見ちへ/良かるおらに/又東方の庭に/たらしちやめかしや
一てくらんののろの/たしちたしちしやめかしや みちへ/よかるおらに/又あかるいのみやに/たらしちやめかしや